Page 4 - 雑木林の自然誌
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金ケ崎公園
─貴重な自然が残る明石を代表する公園─
<公園の特徴>
金ケ崎公園は、明石市に残された貴重な里山を、大切に 守りながら作られた都市公園です。市内では唯一の里山の 面影を残す公園緑地として、豊かな自然や生きものが残さ れており、生物多様性保全を進めていく上でも、とても重 要な場所になっています。
金ケ崎公園の樹林は、全て人間活動の影響を受けてでき た二次林(里山)です。斜面の下部から中部にかけては主 にコナラ・アベマキが、上部や尾根部にはアカマツなどが 生育しています。これらの二次林は、ツツジ類などの里山 の構成種が多く生育しています。
全域にわたり、樹林・林縁・せせらぎ・水路といった多 様な環境があり、多くの種類の動物が棲息しています。ト ンボ類、チョウ類、コナラやアベマキの樹液に集まる甲虫 類・ハチ類など数多く見られます。また、鳥類も多く姿を 見せ、野鳥愛好家の間では、よく知られた観察地のひとつ になっています。
<公園の管理>
公園の管理・運営は、(財)金ケ崎コミュニティ協会を 中心に、住民参画型で行われています。多くの人びとが関 わる開けた公園であり、イベントや活動が企画運営しやす い公園です。
<保全活動>
活動は、「エコウィングあかし」自然グループを活動母 体として、「安全に、楽しく、継続して」をモットーに、 2008年12月より里山の手入れなどの活動から始まっ ています。
<生物多様性保全>
明石市は、2011年「生物多様性あかし戦略」(明石 の生物多様性を保全・回復していくために、私たちの取り 組むべき方針を示したもの)を策定し、その中で金ケ崎公 園は活動拠点の一つに位置づけられ、自然環境に関わる情 報発信拠点としての役割が期待されています。
また、金ケ崎公園は明石市の生物多様性保全を進めてい くにあたり大変重要な場所であり、「ひょうごの森百選」 (兵庫県の次世代に伝えていきたい森林を選定)にも選ば れています。
<里山の管理>
この金ケ崎の里山林(雑木林)でも、1960年代以降 の燃料革命により、樹林の伐採や田畑の肥料にするための 落ち葉かきなどの手入れが行われなりました。その結果、 ヒサカキやカクレミノなどの照葉樹が繁茂し、明るい環境 を好む里山植物の生育が疎外されています。照葉樹林化の 進んだ樹林の管理や、荒廃したモウソウチク林の生物多様 性を回復させるために、里山の手入れを行うことが求めら れています。
引き続き継続的・専門的な植生調査を行い、その結果に もとづいて目標とする樹林の姿を選定し、手入れ計画を立 てていくことが必要です。
<今後の課題>
⚫ 植生遷移の調査。
⚫ 動植物の外来種の棲息状況や、その生態系への影響の調
査。「ナラ枯れ」対策。
⚫ かけがえのない自然と生きものを守り、未来に伝えてい
くため、人的資源による計画的な管理・保全。
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